The Ground of Infinity から訳しました。
質問者が言っているのはたぶん2つとも
エックハルト・トールがよく使っている言葉だと思います。
＜質問者＞
「私たちが人生を生きているのではなく
人生が私たちを通して生きているのである」
という教えがありますが
これは正しい考え方ですか？
＜アジャ＞
「正しい考え方」なんてありません
＜質問者＞
分かっていますよ！
だからこの質問をするかどうか
ためらっていたんです
＜アジャ＞
おちょくって言っているわけではないんですよ。
その質問には2つの答えがあるのです。
「人生が私たちを通して生きている」
という言い方は
自分をエゴ／個人として見たときは真実です。
「私」と「人生」は、別々の存在である
という見解から言っている言葉ですからね。
ですから
「人生が私を通して生きている」
「神が私を通して生きている」
といった言葉は
分離の立場から見れば
真実ですよ。
しかし
「私」が「ちっぽけなエゴ」ではなく
「私」が「人生そのもの」であるという観点では
その言葉は意味をなさなくなりますね。
あなたは
人生に動かされている小さな個人ではなく
あなたが人生そのものであり
スピリットなんですから。
「私たちが人生を生きているのではなく
人生が私たちを通して生きているのである」
この言葉は
人々を導くための道具なんですよ。
真実への道しるべを
真実そのものと混同してはいけません。
真実へと導く教えは
病気を癒すための薬のようなものです。
お医者さんが特定の病気に対して
症状を治す薬を処方するように
みなさんが抱いている幻想や誤解に対して
認識を正すための道具を使うわけですね
「あなたが人生をコントロールしているのではなく
人生があなたをコントロールしているのです」
「あなたが自分で行動したり決断しているのではなく
人生があなたを操っているのです」
こういった教えで
みなさんが患っている「幻想」という病気を
治療しているんですよ
ただし
「健康」は概念ではないでしょう？
健康という状態は
薬をずっと飲みつづけることではないですよね。
薬をあまり長く飲みつづけると
逆に健康から遠ざかってしまいます
真実へ導く教えも、それと同じなんです。
意識を変えるためには役に立ちますが
それを真実そのものと混同して
握りしめていてはいけません。
真実は
そのような言葉を超越したものですから
しかし
そういう究極的な視点からではなく
日常の個人としての話をするのであれば....
もちろん、その教えどおりです。
あなたではなく、人生が
あなたを動かして生きているのですよ。
あなたの人生で
あなたが自分で決めて行動していることは
実際、ほとんど無いのです
＜質問者＞
それでは
いまこの瞬間にいるようにするのが
良いことなんですか？
＜アジャ＞
「いまこの瞬間にいるようにする」
なんてできません！
＜質問者＞
そんなに厳密に言葉を選ばないといけませんか？
混乱してしまいます...
＜アジャ＞
いえ、言いたいことは分かっていますよ。
あなたに意地悪をしているわけではありません
すばらしい質問です。
「いまこの瞬間」が許せないというわけではないんですよ
いいですか？
過去があって
未来があって
いまこの瞬間という特定の時間がある
そんなふうに思っていますよね。
でも
「いま」や「瞬間」という特定の時間は無いのです。
それは勘違いですよ。
「いま」とは特定の時間や地点ではなく
動きつづけている流れなのです
「いま
」ではなく
「い～～～～ま～～～～～～～～～～～～～～～～～・・・・・・
」という感じですね。
捕らえることなんて出来ないんです。
人生の流れから意識をそむけることを
「いまにいない」
と言うこともできるでしょうけど
「いま」というのは動きであり
いつでも常に存在しているものなんですよ。
正しく理解していただきたいのです。
「いまこの瞬間にいる」というのは
本当にすばらしい教えなのですが
でも
その教えが一体どういう意味なのか
正確に理解していないと台無しなのです。
「いま」とは
過去と現在の間にあるもので
保持することができるものだ
などと思っていたら誤解です。
捕らえたり
中に入ろうとしたりできるものではありません
「いま」は、ただそこにあって
ただそこにあることに気付くだけのものです。
あらゆるすべてが「いま」であり
瞬間ではなく、流れです。
途切れることなく流れつづけている
静けさなのです。
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